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平清盛と溝口の新・平家物語 [映画 ]

溝口健二の『新・平家物語』をDVDで観た。
綺麗なプリントで 音もリップシンクロが
やや気になったけれど 牛車の車輪の軋み音まで
アフレコで録音したんだなぁと デジタルリマスター版の
良さを堪能致しました。
そして そう! 溝口のアングルは立派なのだ!
ワンシーンワッカット主義を棄て
ハリウッドのアクション繋ぎのスムースは見事。
ローアングルも多用しているが ちょい目高のカメラ位置も
床の線にまで細心の注意を払っているあたり
黒澤明を凌ぐ群衆シーンのカメラワークは
オーソン・ウェルズの『フォルスタッフ』の戦闘シーンに
匹敵する絵画的な教養の高さが冴えわたる。
木暮美千代の胸の谷間を強調する変な衣装が
時代考証に凝りまくる溝口らしからぬとも思うのだが
ボロボロのプリントで20代の時に観たときは
全く気にならなかったのだが。
ベネチア映画祭でちょっと分かり易いエロチシズムを
サーヴィスしたのかと 邪推を愉しむ。

この『新・平家物語』をご覧になれば
大河の『平清盛』を否定的に語る事もなかろう。
寧ろ 吉川英治原作よりも野心的で説得力のある展開に
関心するだろう。
ただ 大河の『平清盛』のディレクター達が
用いる高いカメラ位置から少し見下ろす(伏せ目)の
アップショットの多用は 覗き映像にしか見えないと
趣味の悪さを敢えて汚い言葉で注意したい。
ワンシーンワッカトができるということは
ショットバイショットの繋ぎをアクション繋ぎだけでなく
アングルの流れを把握した 撮る前、撮っている最中に
編集するコンテが監督の頭の中できちんと描かれているかどうかなのだ。
編集は切り張り貼り混ぜ作業ではないのだ。
ドキュメンタリーはそうならざるを得ないが
ゴダールの『ヒアアンドゼア』をご覧になればわかる事だが
劇映画の監督を辞めたとゴダールは云いながら
あのドキュメンタリー風映画で 中東の女性のモノローグを
撮影している時 監督(ゴダール)の声が 同録中に
入ってしまう
「ちがう もっと下げて そう左を空けすぎだ。彼女を動かすんじゃない!」
そんなアングルに拘ってしまう瞬間が記録されてしまう。
そして ゴダールはそのシーンに アフレコで自嘲気味に
「所詮映画は映画だ」だったか そう弁明している。

生まれつきの映画監督とは そういうものだ。

私が企画プロデューサーで参加した『ビリー☆ザ☆キッドの新しい夜明け』で
スモークを薄っすら焚いて 奥行を付ける手法を撮影監督の高間賢治さんが
導入されたスタイルだったが それは自然光 フェルメールライティングを
主張した私の要望に応えてくださったからでもある。
大河の『平清盛』にもその手法は受け継がれているが 評判は良くない。
スモークでなく 本当に砂埃のようなモノを噴霧しているのかもしれない。
色が黄色く霞んでいる。それでは 自然光にも 奥行を付ける狙いも
達成できないんじゃないだろうか?
セット美術、衣装は折角 溝口組の水谷浩ばりなのだから!

フィルムと違って ビデオは長回しが楽だ。
溝口の中央上から左へ城壁や屋敷の塀の線を奥から手前に
広がるアングルを高い位置からクレーンダウンしながら
水平に走り 幾たびか役者を中央に追いながら
ローアングルで三角形に役者をおさめ安定を維持し
長台詞にという芸当も可能である。

あぁぁ 映画撮りたい…。平清盛の一話分ぐら演出させてよ。
と アホなことを呟いておきます。ハイハイ。冗談っす。
物的にまわぁる♪ そうゼルダが歌った曲名は デスレスナイトだったか?


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ふくろう

エイシュンさん、こんばんわ

ご無沙汰しています、ふくろうです。

この記事とはぜんぜん関係ないんですが、
去年、図書館で「物理数学の直観的方法」という本を見つけました。
内容は理系の本なんですけど、出版のいきさつがなかなかおもしろいです。
エイシュンさんのなんか参考にならないかなと思いまして・・・。
最近、下記のサイトにもそのいきさつが書かれているのを発見しました。

この著者のホームページ
http://pathfind.motion.ne.jp/

出版の裏話
http://book.motion.ne.jp/pathfind/PhyMathNote.html


よかったら、これらのサイトをのぞいてみてください。


*最近、ブログ、よく読ませてもらっています。がんばってくださいね。


by ふくろう (2012-05-14 20:36) 

エイシュン

ふくろう様
お久しぶりです。 
なかなか面白そうな書物ですね。
そして
早速 ご紹介頂いたサイトを覗いてみました!
ふむふむ なかなか面白い!
私も持久戦・・・というか数学戦略ですね。大好きですこういうの。
私もこの本を借りようと思います。
そして著者サイトもゆっくり読んでみます。
本当にありがとうございました♪
ブレイクスルーを賜ったと存じます。
頑張ります。 今日は この間大粒の雹が降ったので
『デイアフタートゥモロー』を借りて観ましたが
なんだか 此処にきて妙に説得力があり ボーっとしておりました。

by エイシュン (2012-05-15 00:18) 

ふくろう

こんばんわ
ふくろうです。

この本、喜んで頂けて、良かったです。
この本の著者とエイシュンさんは、ジャンルは違うけれど、
似ている感じがしたので・・・。

この本は、この人でなければ書けなかったと思います。
エイシュンさんもきっとエイシュンさんならではの本があると思いますよ。

*最近、気候が激しいですね。
 平和な時に生まれてきたように思ってたんですが、
 なんか、すごい時代に生まれてきてしまったような気もしてます。

by ふくろう (2012-05-29 22:46) 

エイシュン

ふくろう様

ありがとうございました!
がんばります。

そして 本当に平和で気楽な時代に生まれてきてよかったなぁと
つい去年まで思っておりました 私も。
ところがどっこい 自然との 地球との対話を 真剣にしなくては
ならない時代でもあり このまま大国路線で事なきと思い込んでいた
我が国も 舵取りのとても困難な状況であることが
判り ちょっと平時ではございませんね。
この状況を ワクワクすべきだと思いますが 
私の書いた小説が そういう感情を伝えられれば いいかなと。

どうせ 生まれてきたからには死ぬのがこの世の真実ですから
存分に ワクワクして生きて 逝きたいものでございます(笑)
by エイシュン (2012-05-29 23:48) 

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